今、知りたいマスクのコト。再利用は?管理が命!知っておきたい消毒・減菌の話。

食料の確保、仕事など、外出せざるを得ない局面で「マスクが売っていない」と焦っている人もいるのではないでしょうか。「本当はあまり良くないだろうけどしょうがない」と思いながら、マスクを再利用している人も、出てきたかもしれません。
厚生労働省発信など、信頼できる情報を元に、マスクの消毒・滅菌についてお伝えします。家庭でも、薬品を使わずに消毒できる方法があります。あなたの取り扱い、大丈夫ですか?
はじめに…
仙台の状況も変わりつつあります。おでかけや飲食店情報を扱う情報媒体として、今回は、医療の有資格者の確認も経て発信します。誤解による誤情報拡散が生じると良くないので、できるだけ部分読みでなく、一通り全体に目を通すことを、お願いします。
予防用布マスクの洗浄
まずは、予防用で使う布マスクの洗浄、消毒と滅菌についてです。布マスクは再利用が可能ですが、使用した後は、清潔を保つための対応が必要です。
洗わずに同じものを使うのは、危険です。ウイルス・菌は付着しても肉眼で見えません。短時間でも、使用したならば、「ついてるかもしれないモノ」と考えて扱いましょう。
アメリカ国立衛生研究所の検証では、新型コロナウイルスは段ボールで24時間、プラスチックやステンレスで2~3日は生存したとのこと。コロナウイルスがつかなくても、マスクには、他の菌やウイルスもついています。洗わないマスクは、凶器になるかもしれないのです。
参考 BBC【解説】 新型コロナウイルス、表面でどれくらい生きられる?
厚生労働省・経済産業省による、消毒前の洗濯方法について動画です。
動画よりも、イラストと文字が見やすければ、動画内容の要点をまとめた花王のHPを参考に。
参考 花王 外で使用していたマスクのケア~マスク(布)の洗い方~


予防用布マスクの消毒・滅菌。薬品いらずの方法もある?
動画では、洗剤で洗浄、漂白剤は「汚れが気になる場合」とされていますが…
洗浄だけでなく、何らかの方法で消毒を行うことでウイルスが付着、残っていた場合も感染性をなくすことができます。特に、持病のために病院に行った場合や、手続きで役所に行った場合などは、ハイリスク。気づかずに無症状感染者がいる可能性が高いです。消毒も実施した方が安心でしょう。


家庭でマスクを再利用する時に目指したいのは、「外出中、マスクにコロナウイルスがついていたとしても、再装着で感染しないレベル」ですね。
そこで、本当にコロナウイルスを死滅させられるレベルについて、厚生労働省の「消毒・減菌の手引き」という情報を参照。(基本、器具は使い捨てが推奨されていますが、マスクが手に入らない場合の話なので、そこは置いておきます。)
参考 厚生労働省 感染症法に基づく消毒・滅菌の手引きについて
新型コロナウイルスと同じ、コロナウイルスの1種である重症急性呼吸器症候群(SARS)への対処が書かれています。
・80℃・10分間の熱水
・抗ウイルス作用の強い消毒薬0.05〜0.5%(500〜5,000 ppm)次亜塩素酸ナトリウムで清拭,または 30 分間浸漬
・アルコール(消毒用エタノール,70v/v%イソプロパノール)で清拭,または 30 分間浸漬
・2〜3.5%グルタラールに 30 分間浸漬
※資料は、マスク専用の情報ではなく、器具・環境全般を対象としています。清拭(ふきとり)については環境の話と考えてください。マスクをふき取るだけでは、繊維の隙間を消毒できません。
よく見ると、一般家庭でも薬品を使わずに消毒できる方法がありますね。ハイターを買うために家から出なくても大丈夫です。
80℃・10分間の熱水
一般家庭でできる方法としては、
鍋で一旦完全に沸騰させて、火を弱めて10分煮込む。(※温度を維持するため火は止めない)
温度計がなくても、沸騰によって、100℃に上がったことが確認できます。
品切れや、価格の高騰が見られる場合、薬品は加熱できない物(スマホやバッグなど)のふきとりや、万一の感染時用として、予防用マスクには薬品を使わない煮沸による方法を選ぶという、優先順位づけも必要でしょう。
手間はかかりますが、そのひと手間が、命に関わるかもしれません。洗面器を流しに用意しておき、帰ったら手洗いの流れでマスクも洗い、鍋1つマスク用に用意してコンロにのせておき、すぐ放り込む、とルーチン化すると慣れやすくなります。


布マスクの取り扱い・必ず洗う!
・80℃以上10分(沸騰した後、弱火10分)でコロナウイルス類に有効な消毒
次亜塩素酸(ハイター)の濃度計算が難しい?!
マスクの消毒にも比較的使いやすい次亜塩素酸。家庭では、ハイターがおなじみですね。
次亜塩素酸による消毒で、推奨されている次亜塩素酸濃度は0.05〜0.5%です。計算が苦手な方や、説明書きを読むのが苦手な方もいますね。花王のサイトより引用。
0.05%(500ppm)以上 水1リットルに25ml(キャップ約1杯)
花王の塩素系漂白剤で、次亜塩素酸ナトリウム0.05%、0.1%の液は作れるの?


1杯と1ℓ、覚えやすいですね。でも、売ってない時は、熱水で。ハイター、服につくと色落ちするし、手袋しないと手荒れしやすいですし。買占め反対!
アルコール消毒で知っておきたい、濃度
マスクにスプレータイプのアルコールを軽くふきかけただけでは、繊維の奥までは、消毒薬が行き渡りません。全体がびしゃっと濡れるまで浸す必要があります。品薄な中での使用量を考えると、積極的におすすめはしにくい方法です。
また、絶対に知っておきたい点として、アルコールは、消毒の効果が得られる濃度幅が限られています。適当に薄めると殺菌効果がなくなります。消毒用濃度に調整してある「消毒用アルコール」は、薄めないようにしましょう。
※ただし、「無水アルコール」の場合は、希釈が必要です。
静岡県薬剤師会 アルコール消毒薬について—濃度は60~95V/V%が適当 用途に応じた製品を選ぶ
洗った後の濡れたマスクをアルコールに漬け…てはいけません。濃度が変わってしまいます!アルコールの場合は、乾いた状態に対して、使用しましょう。
同じように、手を洗ったあと、濡れたままの状態にアルコールをかけると、薄まって充分な効果が得られません。手の衛生のためのアルコールは、乾かしてから使います。せっかく使うならば、正しく使いましょう。
布マスクは意味ある?予防用マスクの意味と目的は?
布マスクの予防効果は、実際どうなんだろうと疑問に思っている人も多いでしょう。
まずは、予防用マスクの意味を見直してみましょう。くしゃみや咳をしている人の前でマスクをしていれば、安心、と思っていませんか。目の前の相手が健康そうだからと、人と話す時にアゴにずらして顔を出すクセのある人、いませんか。
飛沫による感染も経路の1つですが、ウイルス付着物への接触から、その手で口や食べ物に触れる口を介しての感染、手で目をこするなどによる感染にも、警戒が必要です。
以下は厚生労働省の(一般人向け)感染経路についての見解です。
現時点では、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染の2つが考えられます。
(1)飛沫感染 感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つば など)と一緒にウイルスが放出され、他者がそのウイルスを口や鼻から吸い込んで感染します。
※感染を注意すべき場面:屋内などで、お互いの距離が十分に確保できない状況で一定時間を過ごすとき
(2)接触感染 感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、自らの手で周りの物に触れると感染者のウイルスが付きます。未感染者がその部分に接触すると感染者のウイルスが未感染者の手に付着し、感染者に直接接触しなくても感染します。
※感染場所の例:電車やバスのつり革、ドアノブ、エスカレーターの手すり、スイッチなど引用:厚生労働省
マスク装着で予防しているのは、飛沫による感染だけではありません。マスクには、自分の顔を手でさわってしまうリスクを低減する意味があります。人は、無意識に顔をさわっています。
調査したデータによると、1時間に平均23回も触っていたそうです。
1時間当たりの顔への接触回数は平均23回(範囲4〜153回)で、平均接触時間は口が2秒(範囲1〜12秒)、鼻が1秒(範囲1〜10秒),目が1秒(範囲1〜5秒)であった。


~※ここからは考察で、科学的な裏付けとは別な部分です~
「俺、コロナ」と飲食店に訪れた名古屋の感染者のケースで、接客したスタッフでもなく、レジで対応したスタッフでもなく、直接会話をしていないものの、感染者が着席したソファで「化粧」をしていたスタッフだったそうです。
飛沫や空気による感染かもしれません。が、行動からは他の可能性も浮かびあがります。
化粧では、顔周りに集中的に手を持ってきますね。(ほぼ確定)
ソファに座る動作ではかなりの確率で手が一旦ソファにつきます。ジャータイプのリップを指で塗ったり、アイシャドウを指で伸ばしたりしたかもしれません。(推測)
それらを使っていなくても、顔の周りに手があったり、触れたりした時間が長いことは推測できます。
ウイルスがどこにいてもおかしくない環境で、顔周りに手を近づけるリスクの高さが想像できるのではないでしょうか。
参考:「ウイルスばらまく」現実に…“感染男性いた席で化粧”の店員が陽性 直接接触ない2人の動きを検証
布製マスクと、フィルター効果のある使い捨てマスクを比較すると、ウイルスが通過するパーセンテージでは、どうしても使い捨てマスクに軍配が上がります。
でも、布製マスクを消毒して使うならば、少なくとも「無意識に顔(鼻・口周り)をさわることでの感染を防ぐ」という予防的な意味があると考えられます。
飛沫や空気に対しても、フィルターによる99%というような数値は期待できませんが、何もつけていないよりはつけていた方が、物理的な壁になります。
同時に、外から帰った後、顔をさわる機会が多い家での動きの前に(食べたり、洗顔したりしますね)手洗いを行うことが、どれほど重要か考えさせられますね。
以上、考察です。(※編集部見解)
・しないよりはした方が感染率が下がる可能性大!
・ただし、使った後、見た目キレイでも「ついてるかも状態」。洗浄・消毒は絶対。(管理できないなら、逆に危険な場合も)
結局どうなの、使い捨てマスクの再利用。消毒は?
使い捨てマスクを洗ったり、消毒したりせずにそのまま再装着するのは、逆に危険です。ウイルスがいるかもしれないから、マスクをしているのです。外気に接した部分には、新型コロナウイルスを含む病原体がついている可能性があります。見た目がキレイだからと裏返して使うような行動は、命取り。
そのまま再利用という行為は、マスクをする目的を見失っています。
では、使い捨てマスクを洗って消毒、減菌しての再利用についてはどうでしょう?この点は、医師や専門家の間でも見解が分かれています。
ナシという意見の理由→繊維が弱まり、フィルター効果が薄れる。意味がなくなる(マスクメーカー)
FNNPLIME マスクを消毒したら“再利用”できるって本当? 実際はどうなのかマスクメーカー2社に聞いた
消毒してならアリという意見の理由→手に入らない緊急事態…劣化するので元の機能はもたないが、どうしてもという時にしっかり消毒して1、2回…(医師)
オートクレーブで対応(医師)※滅菌のための医療用装置
JCASTトレンド 使い捨てマスクは洗って再利用できるか 新型コロナウイルスが心配な今、医師に聞いた
毎日新聞 こんな時どうするQ&A 不織布マスク 洗って再利用 破れたら絶対使わない
ヘルシーパスブログ 医療機関だからできる使い捨てマスクの再利用
あまりはっきり書けませんが、「使い捨てマスクの再利用」を認めてしまうと、今後に差し障る立場からは、当然YESとは言えないですね。どんな扱いをするかで、生地の劣化加減も変わります。
医師の立場としても、衛生管理や消毒知識がないままに、再利用の動きだけが広まると、命を危険にさらすことを懸念してしまうでしょう。


どうしてもマスクが手に入らない場合は、一度使った後は「ウイルスがついたかもしれないモノ」として消毒作業をしてから、繊維劣化によってフィルター効果は減少することを承知の上で、判断しましょう。
再利用する場合、マスクは使用後すぐに洗浄を行い、外から持ち帰った「ついてるかも状態」で放置、保管しないようにしましょう。
そのままでの再利用は、命取りです。再利用せざるを得ない時は、洗った後に、
80℃・10分間の熱水
完全に沸騰させた後、弱火で10分
【検証】沸騰後の弱火で80℃を越えているか確認。


簡易的な温度計なので誤差はあると思いますが、沸騰後の弱火で何度か測定し、80℃以上は維持できていました。
熱いですし、できればマスク部分に手は触れずに紐のみ扱うようにするとよいでしょう。手で絞らず、干し場所の下にタオルなどを置いて吸わせると衛生を保てます。
干す場所の状況で、絞らざるを得ない時は、手は徹底的に洗いましょう。手にウイルスがついてたら、消毒の意味がなくなりますので…。
形のヘタりは見られますが、穴があいたり焦げたりといったダメージはありません。
追加 下記は、台湾のIT相による情報発信です。日本では、あまり使われていない「電鍋」というアイテムが使用されているのですが、もしも、お持ちの方は参考に。コメントを見ると蒸気が110℃になることが重要ですね。
参考 JCASTトレンド 台湾の天才IT相「使用済みマスク」再利用法を説明 ツイッターで自ら「電鍋で消毒」
https://twitter.com/audreyt/status/1245379816825606146
ただし、予防的マスクの話です。供給が追いつかない非常事態の2020年時点の情報です。積極的な推奨はしません。やむを得ない状況なら清潔に、ということが伝わりますように。
・何もないよりは、あった方が感染率が下がる可能性大!(医療用ではなく、予防用として)
・使った後、見た目キレイでも「ついてるかも状態」!洗浄・消毒は絶対。
(管理できないなら、逆に危険な場合も)
マスクが売ってなくてイライラする時の発想転換
「みんなのために」などがピンとこなくて、マスクが販売されていないことにイライラする人が発想を変える方法です。(※納得できる、イライラしない人はここは飛ばして大丈夫です。)自分のためでもある、と考えてみましょう。
感染者の飛沫を浴びる可能性が高い、医療スタッフには、マスクが必要です。もし、医療現場にマスクが行き渡らなくなると、海外のように医療従事者が大量に亡くなり、病院が機能しなくなる事態になりかねません。
「もしも、自分が明日交通事故にあったら?」「急にコロナでない病気になったら?」と考えてみましょう。…運ばれる病院が開いていたほうがいいですね。自分に対応するスタッフが、感染していないほうがいいですよね。「医療現場にマスクを供給するので精一杯ならしょうがない、自分のためでもある」と理解してみましょう。
もしかしたら、自分が数年後ガンになった時、命を助けてくれることになる医師のところにマスクが運ばれたかもしれません。…自分を助けてくれる人になら、生きててほしい!と思いませんか。感染したくないならいい方法があります。仕事と買い物以外、できるだけ家で過ごしましょう。布マスクの生地は、着ない服を切ったものでも消毒すれば問題ありません。
イライラしても、店員を責めても、マスクは出てきません。妄想力で乗り切ってみては。
マスクも大事だけど、正しい手洗いも大事!
マスクも大事ですが、正しい手洗いも重要です。感染対策としては、水で軽くささっと流しただけでは、不十分です。
しっかりと時間をかければ、水だけでも一定の減菌効果はありますが、石鹸を使う場合に比べると、残留する微生物が多くなります。石鹸があるならば、石鹸を使いましょう。
洗い方も、しっかり確認しましょう。
マスクの話も出どころを確認。手もマスクも洗いましょう!
基本的には、病院や国、県などの公的な情報や一時情報を参考にしましょう。それ以外の情報は、一旦疑問をもって「専門家発信?」「参考源をしっかり書いている?」「研究結果?想像や思い込み?」と確かめましょう。この情報すら、鵜呑みにせずに1つ1つリンク元を確認するくらいの慎重さを。
最後に一言。洗いましょう、手もマスクも!




※情報の取り扱いに注意を払っていますが、万一専門家の方から見て、医療・科学の視点から掲載が不適切と判断される部分がありましたら、ご指摘お願いします。速やかに修正・削除対応致します。